最低賃金引き上げのシミュレーション
現在進行中の衆議院選挙をきっかけに、一部の政党や財界から最低賃金の大幅な引き上げが提案されています。 ターゲットは1,500円から2,000円まで幅広く議論されていますが、これが社会にどのような影響を与えるのか、自分なりに整理してみました。 まず、機械化とデジタル化への圧力がさらに高まるでしょう。 失業率がどこまで上がるかは未知数ですが、大企業がオペレーションのスケールメリットを活かし、相対的に有利になる可能性が高いです。 これは特に中小企業にとって厳しい環境になるかもしれません。 次に、労働者に求められるスキルの多様化、新しいテクノロジーの習得圧力も増すでしょう。 特に高齢者の雇用機会が減る可能性があります。 また、物価、特にサービス価格の上昇は避けられないでしょう。 一方で、時給2,000円以上の労働者の給与は大きくは変わらないと思われます。 最低賃金付近で働く人々の生活が多少改善される可能性はありますが、過去30年、日本の最低賃金は上昇しているにもかかわらず、中間層の収入はほとんど伸びていません。 このギャップが埋まらない限り、賃上げが経済全体に波及することは難しいでしょう。 さらに、実質的な時給が最低賃金に近いエッセンシャルワーカー(例えば保育士など)は、離職意向が高まるかもしれません。 仕事の大変さや拘束時間に対して、給与が見合わなくなってしまうからです。 総じて、短期的には、ひとり親世帯や苦学生、パート勤務世帯などには大きなメリットがありそうです。 彼らにとって、生活の質が少しでも向上するのは重要です。 一方で、子育て世代やその予備軍、また年金だけでは生活できない高齢者には、物価上昇による負担が大きく、公的援助が必要になるかもしれません。 もちろん、まだ考慮できていない点は多いと思いますが、最低賃金の急激な引き上げはメリットも大きい一方で、困る人々も出てくるのではないでしょうか。